トラウマの克服はできるのか・専門的アプローチから紐解き 令和7年度「生きづらさを支える研修会」
2025年12月7日(日)、当法人主催の「令和7年度 生きづらさを支える研修会」を開催いたしました。当日は多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回の研修では、「生きづらさの背景にあるもの 〜『困った人』から『困っている人』へ〜」をテーマに、トラウマ(こころのケガ)が人に与える影響や、それを支えるための視点について深く学びました。一見解釈が難しいテーマでしたが、参加された皆様は最後は納得され、理解を深めたと感想をお話ししてくれました。
研修の主な内容
講師の**中鉢美之先生(びーらぶ秋田 代表)**より、逆境的小児期体験(ACEs)やトラウマが、その後の人生や心身の健康にどのような影響を及ぼすかについてご講義いただきました。
1. トラウマ(こころのケガ)を理解する
- 「困った行動」は「防衛反応」である:一見理解しにくい行動も、実は過去の過酷な環境から自分を守るために必死に適応しようとした結果(防衛反応)であるという視点を学びました。
- トラウマ反応の多様性:気分の浮き沈み、過覚醒、他者への疑心暗鬼、あるいは感情の麻痺など、トラウマの影響は「からだ・こころ・行動・対人関係」のすべてに現れます。
例えば、ふとした時に思い出す、感情が再燃する。用心深くなる。不安感や怒り、無力感が定着して、それが自分の性格のように思えてくる。
境界線(バウンダリー)の侵害=暴力 心のケガ
トラウマ症状で境界線を引く(例:解離して逃げ場をつくる)
「わたし」や「安全」がわからなくなる
境界線を侵害する/された状態を「安全・親密」感じる
物質や行動、人をコントロールすることで安心しようとする
2. トラウマインフォームドケア(TIC)の視点
トラウマの影響は、その後の生き方にも表れるが、「問題行動」と捉えられ、見逃されたり、非難されやすい。
その人の背景にある「傷つき」に配慮した関わり方=トラウマインフォームドケアについて学びを深めました。 相手をジャッジするのではなく、その人の「生き抜く力」「適応能力」を尊重することの大切さを学びました。
トラウマの眼鏡とは?
本人のトラウマティックな環境を生き延びる対処
→生き方のクセ だということを理解すること(トラウマの眼鏡)

トラウマを経験しての回避行動やその時の自分の選択は決してすべて間違ったものではなく、その時の自分にとって自分を守るための「実は根拠のある大切な行動」だということを学びました。
トラウマに悩む人も過去の自分の行動を責めないでほしいです。今の感情に一緒に向き合いたいと思いました。



あなたの今のSOSはなんですか?
回帰法などで、つらい体験を無理に向き合う必要はまったくありません。今のあなたと対話をして、今の気持ちを吐き出して、同時に過去のつらい体験を共有、緩和したいなと思いました。
困った人から困っている人への変化


参加スタッフの視点
トラウマを克服したり、改善したりすることが第一優先ではなく、経験を通してその人が今をどのように生きているのか、過去の経験を通して “今” 何を感じて、何を思っているのか、本人の生き方のクセと自分を守る大切な手段(防衛反応)に寄り添うことが大切だと感じました。
『本人の今』に寄り添うことで、結局は過去のつらい体験が癒されるのかもしれません。

最後につなぎ隊の方針
3. セーフティネット秋田つなぎ隊の活動報告
研修会当日、2015年の設立から現在までの歩みと、現在の活動状況を報告いたしました。
- つなぎ場(居場所):昨年度利用者数 312人
- つなぐ相談事業(電話・面談・同行支援):昨年度、電話相談件数 542件、相談会利用人数 180人となり、 設立から10周年を控える今、居住支援やワンストップ相談窓口としての役割がさらに重要になっていることを改めて共有しました。
研修を終えて
「困った人」として突き放すのではなく、「何か困っていることがあるのではないか」と背景を想像する。この視点の転換こそが、孤独や孤立を防ぐ第一歩になると確信した研修でした。
参加者からは「相談者への見方が変わった」「自分自身のケアの大切さにも気づけた」といった感想をいただいています。
つなぎ隊では、これからも「あなたの生きる支援をしたい」という想いのもと、学びを深めながら、地域の皆様と共に歩んでまいります。


